彼氏の好きなヒトになる方法
「ねえ君、カッコいいね〜。ここで何してんの?」
「どこの高校ー?」
「暇ならさ、ウチらと遊ぼーよ。今からカラオケ行こうって言っててさ〜」
ぎゃ、逆ナンだ……!
ギャルの得意分野だと勘違いされがちだけど、私たちのグループはしたことない。
何故なら、マナミ様を除く他2名はチキンだからである。
街で俊くんのようなイケメンを見かけても、恐れ多すぎて目の前を歩く勇気も出ないほどだ。ただ、遠目からきゃっきゃっと騒いで話のネタにはさせていただくけど。
いやそんなことは今どうでもいい。
私はもう、中学までのサルみたいな女じゃないんだ。
今日はしっかりメイクもしてきたし、『私の彼氏に何か用?』くらい言えるだろう。ていうか言え!
ギュッと拳を握りしめて、一歩踏み出そうとする。
それと同時に、俊くんのいつもより低く大きな声が聞こえてきた。