彼氏の好きなヒトになる方法


私がずっとニコニコしていると、やがてふいっと目線をそらして、目を伏せた。



「佳菜って変わってるよね」



……そう言った彼の口元が、ほんの少しだけ笑っていたように見えたのは、都合のいい私の妄想だろうか。



「……そうかなぁ……あ、バイトって何時から?」

「まだあと1時間くらいある。歩く?」

「お、いいねえ。俊くん、バイト前なのに疲れない?」

「別に。あんまり早く行ってもヒマだし」



やった。歩きながらおしゃべりできるじゃん。



わざわざ歩いてくれるなんて優しい。


いつもよりおしゃべりする時間は少ないけど、全然大丈夫だ。なんかもう、さっきの逆ナン事件の胸キュン発言でお腹いっぱいだ。




駅を出発して、他愛のない話をしながら、俊くんのバイト先へ歩いて行く。



途中、俊くんがコンビニに寄りたいと言うので、ついていった。



「バイト中に腹減るから」



と言って、パンやらおにぎりやらの棚を見ている。バイトって何時まであるんだろう。夜まであるのかな。そりゃお腹空くよね。



< 91 / 441 >

この作品をシェア

pagetop