彼氏の好きなヒトになる方法
私がずっとニコニコしていると、やがてふいっと目線をそらして、目を伏せた。
「佳菜って変わってるよね」
……そう言った彼の口元が、ほんの少しだけ笑っていたように見えたのは、都合のいい私の妄想だろうか。
「……そうかなぁ……あ、バイトって何時から?」
「まだあと1時間くらいある。歩く?」
「お、いいねえ。俊くん、バイト前なのに疲れない?」
「別に。あんまり早く行ってもヒマだし」
やった。歩きながらおしゃべりできるじゃん。
わざわざ歩いてくれるなんて優しい。
いつもよりおしゃべりする時間は少ないけど、全然大丈夫だ。なんかもう、さっきの逆ナン事件の胸キュン発言でお腹いっぱいだ。
駅を出発して、他愛のない話をしながら、俊くんのバイト先へ歩いて行く。
途中、俊くんがコンビニに寄りたいと言うので、ついていった。
「バイト中に腹減るから」
と言って、パンやらおにぎりやらの棚を見ている。バイトって何時まであるんだろう。夜まであるのかな。そりゃお腹空くよね。