初恋、はじめました。
「こちらこそ、笑わせてくれてありがと」
そう言った彼は円香の頭をよしよしと撫でて、いちごオレ片手にレジへと向かう。
彼がレジへと並べばすぐにどこからか現れた綺麗な女の人。
その人はいとも簡単に彼の腕にするりと腕を回して可憐に微笑んだ。
それに答えるように彼もにこりと笑う。
最初と同じ寂しそうな目をして。
微かに見えたその横顔に円香の胸がまたもチクリと痛んだ。
そのまま会計を終えてコンビニを出ていく彼の後ろ姿をぼんやりと眺めていた円香。
同じ学校とはいえ学年も名前も知らない。明らかに恋人のいる相手。
そんな彼に
「恋、してしまったかもしれない」
無謀な恋の相手が同じ学年のプレイボーイだったと円香が知るのは数日後のこと。