初恋、はじめました。




「あんた…相手が誰だかわかって言ってるんだよね!?」




バンッと勢いよく目の前の机を叩き声を張り上げる仁菜。

そんな仁菜に円香はさして驚くこともなく彼女の方へと向き直りこくりと頷く。


振り向いた拍子にふわりと円香の二つ結びの髪が揺れて。

穢れないシャンプーの香りが仁菜の鼻まで届く。


だが、そんなことをいちいち突っ込む二人ではない。


何を当たり前のことを言っているんだと首をかしげる円香。

そして目の前で声を荒げている友人に円香は何度目かわからない感想を抱いた。




(相変わらず…どっかの漫画のヒロインみたいだなぁ…)




それは円香の率直な感想だった。

友人としての贔屓目なしに見ても、この友人である神崎仁菜はかなり可愛い分類に入る人物だ。




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