初恋、はじめました。
思わず顔を上げて横を見れば、そこには円香と同じ学校の制服。
その制服を見事なまでに着こなした男の子が立っていて。
紺色のヘアバンドをつけられた襟足が肩まで伸びたミルクティーのような色の髪に円香は目を奪われる。
(わぁ…美人さんだぁ)
女の自分でさえ嫉妬してしまいそうな綺麗な肌に澄んだ瞳。
男の人に対して"美人"という表現が誉め言葉であるのかどうかは微妙なところではあるが。
だが思わずそう形容したくなるようなその容姿。
今までの人生で出会ったことのないタイプの人物にドキドキしたくなくてもドキドキしてしまう。
(こんな男の人いるんだ…)
誰もが自然と見惚れてしまうほど整った顔立ちの彼は円香の横に立つと、同じようにカフェオレに視線を向ける。
そしてにこりと笑みを浮かべて円香の方に向き直った。
「それ、右の方がオススメ」