本世界
 「そ、それは…。…わかったよ。」



 その言葉を最後に家から灯りが消えた。



 (あの両親、生活に困ったからってひどい…。よし、とりあえずあそこの木の穴で明日の朝を寝て待つか。)



 チチチチ



 「ヘンゼルー!早く早く!」



 「一体何だってんだよグレーテル。」



 (んー…声が聞こえる。足音も鮮明に…。!!近づいてくる!)



 「みてみてー!うさぎさん!この森ってなんでか動物が現れないから珍しくない?」



 女の子が僕のいる木の穴を覗き始めた。



 (だ、誰だ…?白い肌でプクッとした頬が可愛い。)
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