実らない恋の育てかた
「遅れてごめん」
君は言った。
「ああ、いいよいいよ」
そうやって好きになった人は初めてじゃない。
青春と呼べる時代に5人はいただろう。
「目覚まし3個じゃまだ足りないの?もう2個買ってあげようか」
「あはは」
思い出も特にない。
見た目や名前でまず興味をもって、そこからその人のことを少しずつ知っていって。
面白い子だな、って思ったらまた会おうとする。
要は、この子も好きなのではなくて、この子を好きになりたいなって、思っているわけで。