実らない恋の育てかた


「遅れてごめん」

君は言った。

「ああ、いいよいいよ」

そうやって好きになった人は初めてじゃない。
青春と呼べる時代に5人はいただろう。

「目覚まし3個じゃまだ足りないの?もう2個買ってあげようか」

「あはは」

思い出も特にない。
見た目や名前でまず興味をもって、そこからその人のことを少しずつ知っていって。
面白い子だな、って思ったらまた会おうとする。

要は、この子も好きなのではなくて、この子を好きになりたいなって、思っているわけで。


< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop