実らない恋の育てかた


「ねえ」

「ん?」

「自分が、君に気があるって言ったら、笑う?」

「笑わないけど」

「けど?」

君は答えない。

「僕のこと、どう思ってる?」

「…仲のいい友達だと思ってるよ」

「仲が良かったら、毎度待ち合わせに遅れたり、そっちから連絡を一度もよこさないってことはないでしょう」

「……」

君はさっきから心底困ったような顔をする。

「毎回美味しいお店探して、お金も全部出してるじゃん」

「奢ってなんて」

そこで君は口を押さえる。…たぶん。

僕はうつむいたまま。
君の顔も見られなかった。

気がないのなんて、わかっていた。
それでも、やっぱり、悲しい。

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