名前で呼ばないで
「つかぬことをお聞きしますが」
「何か?」
昼休み。お弁当箱を開いてなんとなく隣同士、花子さんに。
「自分の名前、気に入ってます??」
うーん、と少し考え、
「考えたこともありません。どうして??」
いや、どうしてっていうか。
ト○レの花子さんとか、わりと有名だし。
過去に何もなかったんだろうか。明るく振る舞っているだけにも見えないけれど。
羨ましい。というか強い。
「えっと、そういえばお名前…」
「あっ、い、……芋祓、豊子、…です」
「トヨコさん!?可愛い!!」
驚いた。
初めて言われたそんなこと。
「じゃあ、トヨピーって呼んでいい???」
「と……」
と、と、と、トヨピーって???
「調子に乗んなよ、イモコ」
後ろから頭を叩かれる。
「トヨピーって呼んでくれる??」
なんか、可愛いぞ。
こんなことでいいのか!?私??
中学の恥は何だったんだ!!
名字のことしか考えてなかったぞ!?目からウロコとはこのことか!?