名前で呼ばないで
「これとこれ、どっちがいいかな」
大型のショッピングモールに来ていた。
2着の洋服を手に、見せる花子さん。
花子さんは最初から気合いが入っていた。ショッピングモールで恥ずかしくない格好だ。
私も一応、自分なりにお洒落はしていくつもりだった。
が、ダメ出しされ部屋に上がって、タンスを開けて着替えさせられた。
白いレースっぽいシャツと、何年か前に買ってくれてタンスに眠っていた、普段なら好んで履かないショートパンツを履いていた。
花子さんのコーディネートだった。
「もう!!トヨピーってば!!聞いてる!?」
「えっ??何だっけ」
適当に髪の毛の雑貨を見ていた私。フリフリの服ばかりで、私には合いそうにないので見ていなかった。
慌てて振り向いたその先に、白鳥先生が視界に入った。お休みでお洒落な私服でもすぐわかった。
向こうの通路で、スタイルのいいきれいな女の人とあちこち見ながら楽しそうに歩いてた。
そうだろうね、と。
結婚してなくても彼女さんくらいいるだろうし。
私は何をしてるんだ。
「ごめん、用事、思い出した。帰るね…」
「ちょっと、トヨピー??」