名前で呼ばないで

私はといえば、可もなく不可もなくな容姿。目は少し大きめだけと団子っ鼻で地味子。


髪は癖っ毛でごまかしてお団子。モテるわけがない。


「ト~ヨコ~」


無視。


「聞こえてるやろ!!ト~ヨコ」


校門に入るや、去年、大阪から転校してきた矢水颯斗(ヤスイハヤト)に大声で後ろから呼ばれ、イラっとする。


「トヨコ!!トヨコ!!お~安売り」


関西独特の発音だ。
走ってきてお尻を触る。スカートが捲れそうになる。


「うるさい!!あっち行け!!」


これさえいつものやり取り。
が、ウザい!!


「いつこい!!」


いくら誰でもよくても、こういう無神経な奴は、無理!!


しかし、ムカつくほどのルックスの良さ。制服がスバラシクよく似合う。


後ろは短く刈り上げ、前髪を少し伸ばして、たぶん兄弟の整髪料を勝手に使ってセットし、ムダに整った顔立ち。


女子にモテモテ。どこがいいんだか!!こんな悪ガキ!!




< 4 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop