キスラバーズ 〜新〜
「いえ、朝のこと謝ろうと思って。…その、私、ノロマで…。」

ゴニョゴニョ言うな…聞き取れないからさ。そして、俺の冗談スルーかよ…

ふっ

「ぷっ、面白いね、そうゆう奴好き。」

自然と口から出てきた言葉

何言ってるんだ?俺は…

面白い?まぁ、確かに面白いな…うん…

「それだけ、言いに来たの。」

真っ赤になっている如月…不覚にも、ときめいてしまう…

「…なんだ、あいつ。面白いな。」

他の授業も、全部自己紹介ばっかり…何度もあの子の番になるのを心待ちにしていた

あの声をまた聞きたい…

本当にどうしたんだろうな、俺じゃ無い誰かが体の中に居るみたいだ…

空っぽのバッグを手に、教室を出る

どうせ、授業なんてしないだろうから、持つだけ無駄だ

明日の日程はメモし、胸ポケットにしまった

帰るか…

教室を出て、窓側を歩く

夕焼け色に燃える空…赤い色…オレンジ色の絵の具と、赤い絵の具を混ぜてキャンバスに塗ったみたいだ…

校門に人影が見えた

如月だ

認識した途端、体が動いた

階段を駆け下り、何事も無いかのように近づく

ドキドキと鼓動が速くなる
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