モアイ・ザ・ババリアンの涙
「これ、俺の新作!」

元気のいい声が不意に聞こえた。

びっくりして顔を上げると、クラスメートの山川君がこっちを見ている。

傑作ができたって、得意満面な顔だ。

僕は仕方なしに落ちてる紙切れを拾った。

お得意さまには満足して帰ってもらうのも、ダメ人間の大事な仕事なんだ。

それは計算用紙か何かに使ったあとのようで、裏に何事か書いてある。

ふふっと不覚にも笑ってしまった。

だって、吹き出しで「モアイです。」なんて書いてあるから。

しかも、顔からじかに手足が生えたその生き物は、なぜだか右手に鉛筆を握らされている。

勉強ができるんだろうか?
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