モアイ・ザ・ババリアンの涙
「似てるだろ?」

曖昧な顔をしてお茶を濁している僕を尻目に、山川君はその紙を取り上げて近所の人に触れ回った。

「これ、モアイ!俺が書いたの。

モアイだろ?モアイ・ザ・ババリアン!」

「やめなよ。」って言ってくれてる女の子の顔も、困ってはいるけど楽しそうで、僕は真実いたたまれない。

教室の電気がぼーっと照らしてくれている、僕らは雨の中。

世界があんまり泣き虫だから、そっと席についた、音をたてないように。

みんなを邪魔したくない僕は、ずいぶん弱虫なんだ。
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