四季のいたずら



2人の元へ行こうと思った。だけどたった2文字が、あたしの足を凍てつかせた。



今なつ、なんて......?



「おうが好き」



あたしの問い掛けに応えるかのように、なつの声が返ってきた。


まあ、あたしに言ったんじゃないんだけど。



ーーガタンッ



っやば。



一瞬力が抜けたのか、持っていたバッシュを落としてしまった。



音に気付いたおうとなつがこちらを見る。


......見つかった。



慌ててバッシュを拾おうと屈むと、突然視界が歪んだ。


ダメ。ここで泣くな。耐えろあたし。



バッシュを手に取り涙が溢れないよう顔を上げる。


が、もう遅かった。


つーっと涙が頬を伝う。



あぁ......終わった。
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