幼なじみを私の言いなりにするには
私たちは、遠回りしていたみたい。
幼なじみから抜け出すことを恐れて、ずっと臆病だった。
「今から催眠なしで、誕生日のお祝い……してくれる?」
「……当たり前だろ?」
私たちはもう一度部屋に戻ると、最初に催眠術の本を捨てた。
「もう、こんなのいらないね……」
「でも、催眠じゃなくても、さっきみたいに言ってよ。あんなふうに積極的なお前、マジですごく可愛かったから」
「はーーーっ?」
催眠だったから言えたんだよ。なにもないのに言わせる気?
膨れた私の頬を両手で挟んで、大輝が言った。
「誕生日おめでとう、香穂。お前が好きだ」
そんなこと、そんな優しい声で、そんな優しい笑顔で言われたら、催眠じゃなくても、大輝が欲しくてたまらなくなるじゃない。
「大輝……私を……抱きしめて」
大輝は、私の背中に腕を回して抱きしめた。