幼なじみを私の言いなりにするには
「大輝っ!」


玄関で座って靴を履く大輝の背中を見つけると、強くその肩をつかむ。

振り向いた大輝に、自分がしたことを全部白状した。


「大輝、私……大輝に、催眠術、かけてた……最低なことした……大輝の気持ちなんか考えずに、最低なことした……それなのに、私を傷つけないように、黙って従ってくれてたんだよね……ごめん……」


すると、私の話をずっと黙って聞いていた大輝が、下を向いて静かに言った。


「……違うよ。違う。」

「えっ?何が?」


意味がわからなくて戸惑う私に、大輝はゆっくりと言葉を続ける。


「催眠をかけていたのは…俺の方だよ。」


なおさら意味がわからなくて、大輝の瞳を訝しげに見つめた。


「どういうこと……意味、わかんないよ」


肩を掴んでいる私の手を、大輝がそっと外して立ち上がる。

私は、いつものように大輝を見上げた。


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