クールな彼を妬かせたら
携帯を握りしめたまま落ち込み気味にため息をついた瞬間、手の中の携帯がぶるぶると震えて着信音が鳴り出した。
「え、ヒロキ!?」
画面を見てすぐさま通話ボタンを押す。携帯をそっと耳に当てると『もしもし、リオ?』と、久しぶりに聞くヒロキの声が聞こえてきた。
「ヒロキ…」
いつも通りのヒロキの声に安心して思わず涙腺が緩んだ。怒ってない。よかった…。
「あ、ごめんね。電話出られなくて…」
『別にいいけど…どっか出かけてた?』
「ううん、おお風呂入ってたの。それで気づかなかった」
『…そっか』
心なしか、ヒロキの声に元気がないような気がした。急に連絡をよこしてきたくらいだし何かあったのかも知れない。
「急にどうしたの?何かあった?」
『まあ…ちょっと用があったんだけど…。
お前の方こそ、何かあったんじゃないの』
「え?あたし?」
『ここ二週間一度も連絡してこなかったじゃん』
「え、気づいてたの…?」