クールな彼を妬かせたら


『そりゃ気づくだろ。毎日のようにメールやら電話やらしてきてたのに、いきなり静かになったら不自然すぎるし』


「ああ、そういうことね…」


なあんだ。寂しくなったとか、不安になったとかそういうことじゃないんだ。へーえ、そうなんだ。あたしって毎日連絡してくる迷惑な奴ってくらいの認識なのね。ふーん。


何となくはそう思われてるんじゃないかなーとは思ってたけど本当にそう思われてたんだね。あっそ。もういいよ。ちょっとでも期待した自分が恥ずかしいわ。


「それで?用って何なのさ」


『何でいきなり怒ってんだよ』


「怒ってないよ別に」


『怒ってんじゃん』


「怒ってないってば!」


何だか今は気を抜いたら泣いてしまいそうで、はやく電話を終わらせたかった。


ヒロキと電話をしている時はいつも、このまま時間が止まってしまえばいいのにって思うくらい幸せで。何ていうか…好きって気持ちがぶわあああっと溢れ出て止まらないのに、はやく終わらせたいだなんて思う日がくるとは、想像もしていなかった。


こんなの自分、嫌いになっちゃいそうだ。ヒロキと過ごしている時間は、いつだって笑顔でいたいのに…。


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