クールな彼を妬かせたら
「もしかしてヒロキ、心配してくれてたの?」
『………』
あ、黙り込んだ。
受話器越しの彼の顔を思い浮かべると、それだけで自然と頬が緩んでしまう。
「なあんだ、ヒロキでも妬いたりするんだ~」
『お前な、調子乗ってたら吊るすぞ』
「へっへっへっ、やれるもんならやってみなさい。遠距離だから怖くもなんともないもんね」
だって、不謹慎かもしれないけど嬉しいんだもん。あたしもちゃんと愛されてるんだなって、感じられたし。
上機嫌な私に対し、受話器の向こうからふっと鼻で笑う音が聞こえた。
『言ったな?じゃ、来週お前んとこ帰るからそん時は覚えとけよ。足腰立たなくしてやる』
「え、え!?待って!今来週帰るって聞こえたんだけど…」
『もともとはそれ伝えるために電話したんだよ』
「何それ早く言ってよ!」
『どっかの誰かさんがいきなり不機嫌になるからだろ』
うっ…それを言われると耳が痛い…。