背伸びして、キス
第1章
モノクロの世界
「ばっちゃん、いってくるね」
「はい、いってらっしゃい」
穏やかな笑顔で見送ってくれるおばあちゃんに笑って家を出た。
もうすぐ来る夏を告げる太陽が空に輝いている。
6月の半ば。
すっかり熱くなり始めた空気は歩くたびにじんわりと鈍い汗が浮かぶ。
高校までは徒歩20分程度。
ゆっくりとした足取りで歩く道のり。
「おはよー、一華」
「あ、おはよう。涼子ちゃん」
校門前で反対側から来た涼子ちゃんと出会う。
涼子ちゃんは、私の親友で中山涼子ちゃん。
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