背伸びして、キス
「あの、ごめんなさい。私、戻りますね」
一条さんにそう言って謝って武くんの背中を押しながら進む。
武くんはまだ少し不機嫌そうだけど、納得はしてくれたみたいで歩き出した。
「一華がいいならいいけど・・・」
「うん。本当に、なんでもないから」
そう言いながら店の中に入ろうと自動ドアの前に立った瞬間。
突然腕を掴まれ手を引かれた。
「え・・・?」
突然の事に躓きながら引っ張られるままに歩き出す。
「一華!?」
後ろで聞こえる武くんの声に反応する余裕もなくて。
私の手を引く一条さんの背中をただ見つめながら。
手を引かれるままに歩いていた。
どうして―――――?