背伸びして、キス
想いよ届け
「あ、あの!一条さ・・・っ」
足をもつれさせながら必死でついていく。
なんで・・・?
掴まれた手首が痛い。
怒ってる・・・?
しばらく歩くと、ピタッと足を止める。
突然止まって、つんのめるようにして私も止まった。
「あの・・・」
心拍数が、おかしい。
どうして、こんな突然・・・。
「わ、悪い・・・」
「え・・・」
「俺、なにしてんだ・・・」
ガシガシと頭をかきながら一条さんが呟く。
掴まれていた手が放される。
「・・・悪い。どうかしてた。友だちと遊んでたんだろ?戻っていいぞ」
「え・・・」
なに、それ・・・。
どうして・・・。
ギュッと拳を握る。
俯いて必死に涙をこらえた。