背伸びして、キス
「この間は、私の気持ち否定されて・・・私、すごく辛くて。悲しくて・・・」
「・・・」
「昨日の夜、女の人とキスしてるの見て、ああ、そういう事かって・・・。だから、諦めようって・・・今スグは無理だけど、それでも、無理なんだって納得しようって・・・」
話し出すと、涙はもう止められなくてボロボロとかっこ悪く溢れてほおを濡らす。
声は震えて、うまく言葉をつなげられない。
「でも、会ったらやっぱり、好きだって・・・手を引かれて、わけわかんなくて・・・でも、少し期待なんかして・・・」
「・・・あだ・・・」
「バカみたい!気まぐれに手を引かれただけで舞い上がって・・・っ、結局、帰れって言われて、なんでもないって言われて・・・っ」
わからないよ。
「子どもだからってバカにしないで!私っ、私だって・・・っ!」
突然腕をひかれて気づいたときには一条さんの腕の中にいた。
なにが起きたのかわからなくて呆然としていたけど、ハッとして身じろいだ。