背伸びして、キス


「だから、気持ちもちゃんと追いついてないのに女子高生なんかと付き合って、お前が傷つかないのかって言ってんの」

「なんで俺が」

「そんな若い未来があるのと付き合って、移り気されたら、お前耐えられんの?」



槙原の言葉に眉をひそめる。
付き合った瞬間に別れる時の事かよ、と思いつつ自分でもそこに引っ掛かってたのは確かだ。

付き合いが長いだけあって、槙原はよくわかってる。
悔しいほどに。



「それに、相手の子にだって失礼だろ」

「・・・それは、わかってる」




本当は、あの時にあんなことを言うつもりなかった。
一華が泣いてるのを見て。
それを迎えに来たのが男で。


目の前から浚われていく感覚に、思わず手を引いていて。


我に返って誤魔化したら、泣かれて・・・。




焦って、テンパって、あんなこと言ってた。




< 122 / 351 >

この作品をシェア

pagetop