背伸びして、キス


惹かれてたことも、好きだと思えることも、嘘じゃない。
言ってしまった後に、後から傷つけたくなくてバカ正直に過去のことを話して。


「気持ちがないわけじゃない。たぶん、ちゃんと好き、なんだと思う」

「まぁ、お前の場合気持ちがなければプライベートを裂いてまで誰かと会うことはしないのは知ってるしな。あとは、断れない会社関係とな」

「・・・それは、まぁ、そうだけど」

「俺は、お前が幸せになれるなら相手がばーさんでも、女子高生でも誰でもいいと思うよ」

「ばーさんって・・・」



その言いぐさに、呆れながらも槙原の気持ちは嬉しい。



「・・・俺といると、自分が自分らしくいられるんだって言われたんだ」

「その、一華ちゃんが?」

「ああ。俺には、思ったことがはっきり言えるんだって。・・・なんか、嬉しかった」

「お前ってさ、」

「なんだよ」

「たまに、すごいかわいいよな」



ぞわっと鳥肌が立つ。
男に可愛いとか言われても嬉しくねぇし。

そもそも可愛いとか、嬉しくねぇし。



「お前、そっちなのか?」

「アホ言え、俺は美緒一筋だし」




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