背伸びして、キス


こういう時、私がもっと大人だったら。
テキパキと働く姿を見せて、一条さんに見直してもらえたのかな。


子ども扱いなんてされずに、同じ土俵になってあの女の人たちの中から選んでもらえたって自信になるのかな。



大人の人たちの中では、私なんて子どもで。



そうだ。
初めに告白した時だって、一条さんにも言われたんじゃないか。




――俺は歳は重ねてるからな。学校で会う周りの男よりは大人で、お前からしたら目新しくて、かっこよくでも見えてるんだろう?


それは、逆に言えば一条さんにとっても同じなんだ。
一条さんにとって私は、周りのどんな女性よりもずっと子どもで。



本来なら、恋愛対象にはならないかもしれなかったんだ。




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