背伸びして、キス


男の人たちは皆祝福モードに変わり、その場は軽く盛り上がっていた。
女の人たちは、少しピリッとした空気が漂い、親戚の子だって囃し立てられていた時とは違った視線で見られているのに気付いた。


全員ではないけど、なんだか嫌な視線・・・。
そしてそれは特に、工藤さんから向けられてる気がした。




あの人、少し怖い・・・。
苦手だな。



「一華、ほら」

「あ、ありがとうございます」




一条さんに渡されたお箸とお肉や野菜が乗せられたお皿。
私は笑顔で受け取り、その居たたまれない空気を誤魔化した。



一条さんが初めて一華って呼んでくれてることにも気づく余裕がなかった。



でも、一条さんが誤魔化すことなく彼女だって紹介してくれたことはすごくすごく嬉しくて。





親戚でいいって思ってたのに。
簡単に嬉しくなってしまった。




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