背伸びして、キス


「洋介さん。・・・洋介さぁん」

――・・・・・・



耳を澄ませると洋介さんの呼吸音が聞こえる。
耳にあてたまま寝ちゃったのかな。

やっぱり疲れてたんだ。



「おやすみなさい、洋介さん」




私はそう言うと電話を切った。
たった数分。


洋介さんの声が聞けた。
嬉しいことたくさん言ってもらった。



大丈夫、私。




我慢できる。
会えなくても、寂しくても。




洋介さんとのデートの日を待ちわびて。
その日をご褒美に、待っていられる。





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