背伸びして、キス


――もしもし?

「・・・仕事終わった?」

――ん?いや、もう少しかな。今はちょっと抜けてきた




洋介さんの声。
私は唇を噛む。

言っちゃダメだって思うのに。
弱い心は口を開かせる。



「会いたい」

――ん?・・・ああ、ごめんな。今の仕事が落ち着いたらその後は通常通りに戻ると思うから

「・・・会いたいの。今すぐ。何時になってもいいから仕事が終わったら会いに来て。あのコンビニの近くの公園で待ってる」

――は?一華?待ってるって、お前・・・

「来るまで待ってるから」




そう言って返事も待たずに切った。
すぐに折り返しの電話がかかって来たけど、無視してカバンの奥底にしまった。



私はそのままコンビニの側の公園に向かう。



こんなことしてバカだ。
あんなに武くんに怒鳴ったくせに。

結局試すようなことして。



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