背伸びして、キス


「本当は、少しでも時間つくって会おうかと思ったんだけど・・・。逆に中途半端に会う方が寂しい思いさせるんじゃないかって・・・でも、そういうのもちゃんと聞くべきだったな」

「そうだったんだ・・・」



ちゃんと、会おうと考えてくれてたんだ。
私の事を考えて決めてくれてた・・・。



「ごめん。仕事で余裕なくて、自分の中で解決してた」

「・・・違うんです。ごめんなさい。でも、嬉しい・・・」

「たくさん寂しい思いさせてごめんな」




その言葉にぶんぶんと勢いよく首を横に振った。
洋介さんはいつだって、私の欲しい言葉をくれる。



「仕事途中で抜け出してきたからすぐ戻らないといけないんだ。家まで送る」

「・・・ありがとうございます」



嬉しくて。
申し訳なくて。
しあわせで。


心の中がごちゃごちゃだ。



こんなにも好きで。
好きで。
好きで仕方がなくて。



胸が苦しい。


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