背伸びして、キス


「ねぇ、足立さぁん」



うーん、と考え込んでいたら、突然話しかけられた。
顔をあげるとクラスの派手めなグループの女の子。



「え・・・?」

「数学のプリント、見せてくれない?ほら、今日の課題の」

「え・・・」

「やろうとしたんだけど、わからなくてぇ。足立さん、頭いいでしょう?」




課題は自分でするものなのに・・・。
でも、そんな事言えない。




「ね、これだけ頼んでるんだから」

「・・・わかった。授業の前には返してね」

「ありがとぉ!助かるっ」



取り出したプリントを奪うようにして持っていった。
私は小さく息を吐く。




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