背伸びして、キス
そんな事を考えていると、スマホが鳴った。
家の側に来たという洋介さんからのメール。
会いたい。
会いたくない。
でも会いたい。
そんな複雑な気持ちを繰り返しながら着信を知らせる音が鳴り響いたところでようやく立ち上がった。
その電話には出ずに、家を出ると洋介さんの車を探した。
少し先に、ハザードをたいた洋介さんの車を見つける。
丁度車から降りてきたらしい洋介さんが私に気づき走り出した。
「一華!」
焦ったような、そんな声で。
暗闇の中で近づいてくる洋介さんの姿。
「洋介さん・・・」
「なかなか時間とれなくてごめん。寂しい思いさせたんだよな?」
「・・・違う」
「ん?」
洋介さんは優しい。
初めて会ったときは口の悪い人だって思ってたけど。
でも、離せば話すほど優しいんだって知った。
私はその優しさに甘えきってた。