背伸びして、キス


「私・・・、洋介さんの彼女でいる資格ない」

「・・・なんで」

「洋介さんが仕事忙しいの知ってたのに。周りの言葉ですぐに不安になって、わがまま言った・・・。洋介さんの都合考えずに会いたいって・・・」

「それは、俺が本当に構えてなかったからだろ?俺のせいだ」

「違うよ!」




止まったはずの涙がぽろぽろと溢れだす。



「・・・周りの迷惑になるから、ちょっと車に乗ろうか」

「・・・うん」




そう言われ、手を引かれながら車に向かう。
車の後部座席に二人で座り泣きじゃくる私にハンカチをくれた。



「私が、洋介さんと同じ社会人だったら、仕事の大変さとか、忙しさとかちゃんとわかってあげられた。わがまま言って振り回すことだってなかった」

「そんなことない。社会人だって、寂しい時は寂しいし、我儘だって言う」

「でも、倒れるまで追い詰めることはなかった!」

「え・・・」



私がそういうと、洋介さんは驚いたように目を丸くした。
ギュッとハンカチを握りしめ俯く。




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