背伸びして、キス
「あ、あぶなっ!」
「へ?」
私の身体から離れた洋介さんは顔を反らして手で頭をかいた。
きょとんとして首をかしげてみる。
「・・・卒業するまで待つ。それが俺の、覚悟って決めてんのに、お前があまりに可愛すぎて・・・」
「かわっ・・・!」
可愛い、って単語にポッと頬が染まる。
可愛い場面なんかあったっけ!?
「ん?え、じゃあ、卒業するまでなにもしないの?」
「ん?ああ」
「キ、キスも?」
「ああ」
そ、そんな!
付き合ってるのに!
「社会人としての節度は護るつもりだし、一華の事大事にするって決めてるから」
「そ、れは嬉しいけど・・・。キスくらい・・・いいじゃん」
「だめだ」
「なんで!?」
「・・・キスしたら、歯止め効かなくなったら困るだろ」
困ったような声色でそんな事を言われ、私はそれ以上何も言えなくなっちゃった。
でもでも!
キスまでお預けなんて!