背伸びして、キス


パァン!
音と共に走り出す。

目立つことは苦手だった。
自分の想いを口に出すことなんて、特に。


ただ平穏に。
ただ隠れて。


それでも。
私を変えてくれた人がいる。

ずっと側にいてくれた人もいる。


頑張ろうと、思わせてくれた人。


平均台も網もなんとか乗り切った。
真っ白な粉の中の飴。


私は思い切り、顔を突っ込んだ。



≪おおー!白チーム足立さんでしょうか!果敢に攻めます!≫


口の中に粉の味と共に広がる甘い飴の味。
私は走り出した。


紙を取り出し中を開く。




「え・・・」




その紙を開いたとき、私の手は止まった。




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