背伸びして、キス


「なに、訳ありなの?」

「訳あり・・・なのかな・・・。子どもにあまり積極的じゃない家庭、なのかな」

「へぇ。じゃあ、寂しいな」

「高校生だぞ?」

「高校生って言ったって、寂しいもんは寂しいんじゃないの?いつからそうなのかは知らないけど、結構前からなら、寂しさは積もってんじゃねぇの?」




そういうもんか・・・。
高校の時思い返すと、俺は逆に親から離れたくて仕方なかった。
特別過干渉なわけでもないのに、無性に。

それに、寂しくないかって聞いたとき、あいつは慣れてるから平気だって言ってた。



慣れてるから・・・。



「慣れてるからって・・・。寂しいって思ってることにって、事か・・・」



それって、やっぱり寂しいって思ってるってことで。
慣れたから、それに対応する術を覚えて。



「なんでそのことに、気づかなかったんだ・・・」

「なんだ、お前、本気なのな」

「・・・うるせ」



バカみたいに本気になってることくらい。
それくらい、わかってんだよ。



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