背伸びして、キス
「楽しんでますか、お客さま」
食事も終盤に差し掛かった頃、シェフの格好をした人がデザートを手に入ってきた。
今までの人と違い少しフランクだ。
「槙原、ありがとな」
「いえいえ、親友の頼みですから。一条はオーナーも顔見知りだし、快くオッケーしてくれたぜ」
洋介さんは、気さくな感じでシェフの人に話しかけた。
知り合い・・・?
あ、もしかして友だちって子の人なのかな。
「あ、あの。洋介さんのお友達の方ですか?」
「あ、はい。槙原って言います。よろしくね、一華ちゃん」
「私の名前・・・」
「一条から耳がタコになるほど聞いてます」
「おい、槙原!」
からかい口調の槙原さんに洋介さんは困ったように言った。
仲よさそう。
会社の同僚の人には会ったけど、仕事の関係のない友だちは初めて会った。
友だちと接している洋介さんは、新鮮だ。
「へぇ、可愛いね。さすが若い!肌ピチピチだな」
「おい、お前ほんとおっさんみたいだぞ」
「いやだなぁ。タメだろ」