背伸びして、キス


「・・・私、嬉しかったんです。洋介さんが体育祭に来てくれた事。誰かが見てくれるってこんなに嬉しくて、頑張れるんだって思ったから・・・」

「一華・・・」

「幸せすぎて、夢みたいで・・・。今までの辛いのとか、寂しいのとか、きっと今のこの幸せのためだったんだって思うくらい」



それくらいに嬉しくて。
私にとっては、奇跡みたいなものだったの。



「それなのに、誕生日まで望んだらダメだって。洋介さんは、私の欲しい言葉も欲しいものも全部くれるから。これ以上、望んだら罰が当たるって・・・」

「罰なんてあたらないって。体育祭の事も、誕生日のお祝いも、一華ちゃんが当たり前にしてもらっていいことだ。特別なんかじゃないよ。望んだっていい」

「洋介さんに出会って、私ばっかり幸せになってる」




それが嬉しくて。
申し訳なくて。


こんなに幸せをもらって。
なにか返せてるかなって。



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