背伸びして、キス
「今、なにしてるの?」
「え、あ・・・、食料品関係の仕事してる」
「そっか。洋介、なんだかかっこよくなったね」
「そうか?」
ハッと現実に戻されて、苦笑を浮かべながらぎこちなくコップの水を飲む。
「昔はあんなにずっと洋介と一緒にいたのに、こんな風に会わなくなるなんて思わなかった」
「・・・お互いに世界が広がったんだ。仕方ないだろ」
違う。
俺が逃げていたのに。
会わないように、俺が避けていた。
「そうだよね。でも、私洋介とはずっと一緒にいられるって勝手に思ってた」
「無理に決まってるだろ。そもそもお前が・・・」
違う。
なにを言うつもりだ、俺は。
今更何を。
「・・・とにかく、広美も元気そうでよかった」
「うん・・・。あの、私ね」
少し寂しそうに笑う広美。