背伸びして、キス
隣にいてほしいのは
「・・・一華ちゃん?」
座り込んでいた私に声をかけてきたのは、時東さん。
驚いたように目を丸くさせ私に駆け寄ってくる。
「なにしてんの、こんなところで。今日6時待ち合わせって言ってなかった?」
「・・・なんでそんな事覚えてるんですか」
「いやいや、話したことくらい覚えてるよ。なにしてんの、もう7時過ぎてるじゃん」
腕時計を確認しながら時東さんが言う。
そう、あれから洋介さんはまだ来ていない。
スマホで連絡もない。
一度、メールを送ってみたけど、返事はなくて・・・。
「こんな身体冷えて・・・。室内行こう。このままじゃ風邪ひく」
「いや。ここで待ってます。・・・きっと、来てくれるはずだから」
「でも、1時間も過ぎてるし、連絡だってないんだろ?もう来ないって」
「来るもん!」
だって、楽しみだって言ってくれた。
仕事だって終わらせてくるって。
でも。
工藤さんが、もう洋介さんは会社を出たって言ってた。
私の前を通った工藤さんよりも前に、会社を出たって。
「でも、俺ほっとけないからね。クリスマスに泣いてる好きな子放っておけるほど、俺余裕ないし」
「・・・っ」