背伸びして、キス


「とりあえず、温かいもの飲んどき。めっちゃ冷えてるから、一華ちゃん」

「すみません・・・」



温かい飲み物をと頼んでくれ、気にしてくれる時東さんに、少しだけ感心する。
女の子の扱いは、やっぱうまいんだろうな。



「てか、女子高生のクリスマスデートがこんなおしゃれなレストランって、さすが相手社会人だな」

「違います!ここは、私が選んで、お金も、私が出すつもりで・・・」

「へぇ、なに、憧れてたの?」




・・・悪い?
そう言い返せなくて口ごもる。

大人なクリスマスデートに憧れてたんだもん。
私が高校生なことは、どうあっても変えられないし。

雰囲気だけでも大人っぽくしたかった・・・。




「やめやめ。この話終わり。せっかくの美味しい料理がまずくなるわ。あんたのその顔見てたら」

「ひどい・・・」

「あ、俺ピーマンダメなんだー。クリスマスプレゼント」



そう言ってこっそり私のお皿にピーマンを乗せる。



「ちょっと!・・・ピーマン嫌いとか、子どもですか」

「なんとでも言えー。ピーマン食べなくてもね、生きていけるんですよ。あ、これウマ―」



ほっこりと笑みを浮かべ食べ勧めていく時東さんに、毒気を抜かれ苦笑する。
落ち込んでた気分、少しだけ楽になったかも。




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