背伸びして、キス


「○○駅の近くなのでそっち方面にお願いします」

「了解」

「そこは、若い女の子も来たりしますけど、多い層はおじさま方なんです」

「へぇ。おじさまねぇ」

「・・・え、あ。あの、一条さんがおじさんとかそういうつもりじゃないですよ!男の人も多いって話がしたかっただけでその・・・」




私のバカ!
ものすごい失言。

でも、一条さんの事おじさんなんて思ってないし。




「冗談だよ。まぁ、お前からしたらおじさんだわな」

「あ、あの。私足立一華って言います」

「あ?ああ・・・」




一条さんは前を向いたまま頷いた。
運転している男の人って、なんだかすごくかっこよく見えるんだ。


ドキドキしちゃって、目を反らした。




「あ、あの。一条さんって、何歳なんですか?」

「俺?・・・28。今年29になる」

「じゃあ、11歳違うんですね」

「・・・そうだな」



あれ、また失言?
歳って、やっぱ気になるのかな。



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