背伸びして、キス
言い訳も、できるわけない
――お前ら、別れたのか?
「は?」
25日の昼。
仕事の休憩時間に職場にかかってきた電話。
「職場にかけてくんなよ」
――だってお前、スマホ繋がんねぇし
「ああ、壊れたんだよ。今日ショップに行く」
――へぇ。じゃなくて、お前ら別れたのか?
電話の相手は槙原で。
私用電話なためコソコソと小声で対応する。
――昨日の夜。おしゃれなレストランで、一華ちゃんが男といるの見たんだけど
「・・・」
――ただの知り合いとかかと思ったんだけどよ、場所がそんな関係で行くようなとこじゃなかったし。クリスマスだしさ・・・
「・・・そうか」
――え?あ、あれ・・・俺、まずった?
「いや、なんでもない。大丈夫だ。私用電話怒られるからもう切るな。スマホ直ったらまたこっちから掛ける」
そう言って一方的に電話を切った。
聞かされた真実に騒ぐ心。
でも、責める資格は、俺にはない。