背伸びして、キス


「洋介さんなんて、嫌い!嫌い!嫌いっ!」

「いち・・・」

「大っ嫌い!」



思い切り何かを投げつけられ、そのまま車を飛び出して行った一華。
包装された包みはぐしゃっと皺になって俺の膝に落ちた。




「・・・一華」




最低だ。
自分でもそう思う。



一華の言うとおりだ。




投げつけられた包みを拾う。
それにつけられたメッセージカードには“洋介さんへ”そう書かれてあった。




クリスマスプレゼント・・・。




こんなもの、用意してくれてたのか。




皺になった包装をほどいていき中を開く。
そこには、おしゃれなネクタイ。




メッセージカードには、
『なにがいいかわからなくて悩んだけどネクタイにしました。なんだか、お父さんへのプレゼントみたい(笑)でも、一生懸命選んだから!大好きです、メリークリスマス! 一華』
丸みのある文字でそう書いてあった。




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