背伸びして、キス
「ずっと、好きで、気持ちも伝えられないまま未消化に終わった恋だから。あいつ自身も、自分の気持ちとかにはっきり言い切れなかったんだと思う」
「・・・はい」
「でも、確かに言えるのは、あいつが一華ちゃんの事を好きだって言ってたことは、絶対に真実だってこと。一華ちゃんと家に食べに来た時のあいつは、本当に幸せそうだった」
「・・・っ」
「あいつ今、全部自分のせいにして、一華ちゃんの事諦めるつもりだ。俺は、そんな事させたくない」
ギュッと槙原さんが拳を握る。
「一華ちゃんが、もうあいつに気持ちがないっていうなら何も言えない。でも、そうじゃないなら・・・。俺は、一華ちゃんに一条の側にいてほしい」
「槙原さん・・・」
「あいつには笑っててほしいんだ。俺の勝手だけど。本当なら、大人で男の一条の背中を押すべきなんだけど、あいつ頑なだからさ・・・」
そう言って切なそうに笑った。
槙原さんの想い。
聞かされた真実。
私がどうするべきなのか・・・。
私が、どうしたいのか。
もう、間違えないように。
もう、迷わないように。