背伸びして、キス
「・・・コーヒーは飲めないよな。お茶くらいしかないけどいいか?」
「うん。ありがとう・・・」
中に入れてもらって、とりあえず座るように言われて座った私。
洋介さんは別の部屋に入って着替えて戻ってくるとテキパキとお茶を用意してくれた。
洋介さんの匂い・・・。
初めて、洋介さんの家に来たんだ。
彼女として、来たかったな・・・。
シュン、と落ち込み方を落とすと視線を落としたままだった私に、洋介さんが腰を落ち着け話を切り出した。
「帰りは、送っていくから。・・・道、迷わなかったか?」
「うん・・・。スマホで調べてきたから」
「そうか・・・」
ぎこちない会話。
当たり前なのに、やっぱり悲しい。
「洋介さん、・・・こないだの事、本当にごめんなさい・・・。私、一方的に喚いて、洋介さんの話ちゃんと聞かなかった」
グッと拳を握りしめ、言いたいことをちゃんと伝える。
これを伝えるために来たんだから。