背伸びして、キス


私は慌ててその腕をとり、引き止めた。




「ま、って」

「ん?」



すんなりと歩みを止め、再び私に向き直る洋介さん。
いじわる!


私はためらいながら、チラチラと洋介さんを見上げ、掴んだ腕にギュッとしがみ付く。





「ご褒美、くれるの?」




甘ったるい声で、洋介さんが囁く。
胸はうるさいくらいに音を立て、顔には血がカーッと立ち上る。




「私の事、好き?」

「・・・ああ。好きだよ、一華」




確かめるように尋ねると、洋介さんは当たり前のように答えた。
うん。私も、大好き。



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