背伸びして、キス
「ぷっ、そんなむくれんなよ。悪いって。この一本でやめるから」
一条さんがおかしそうに噴出して笑った。
あまりにも自然と笑うから、思わず見惚れてしまった。
初めてそんなに笑ってるの見たかも。
ずっと、ムッとした顔とかそういう顔しか見てなかったから。
こんな風に笑うんだ。
ドクン――――
あれ。
なんだ、これ。
心臓が、おかしい。
「お待たせしました。アイスコーヒーとアイスココアです」
そのタイミングで店員さんが注文したものを運んできて、私の気持ちはまぎれた。
なんだったんだろう・・・?
「砂糖とかいれないんですか?」
「あ?ああ。ブラックが好きだからな」
くそ、大人め。