背伸びして、キス


楽しい時間は、本当にあっという間に過ぎて行った。
最初はぎこちなかったけれど、最後には笑って話せるようになったし。


相変わらず私は、一条さんに対しては思ったことを正直に言える。
それが嬉しくて、話すことがすごく楽しくなった。


「今日は、本当にありがとうございました」

「いや、こっちこそ。本当にここでいいのか」

「はい。すぐ近くなので」

「そうか。気を付けて帰れよ」



待ち合わせたコンビニまで送ってもらって車を降りた。
運転席の窓をあけてくれ、別れのあいさつ。



「あの、・・・また会ってもらえませんか」

「また?」

「・・・あの、一条さんとだと私、正直に話ができるんです。なぜかわからないけど。だから、もっと話がしたいです」

「・・・まぁ、仕事が休みの日なら」

「ありがとうございます」



私のわがままに、付き合ってくれる。
一条さんは、意外といい人なのかもしれない。



「まぁ、友だちがいねぇならしょうがねぇか」

「います!失礼ですね!」



余計な言葉さえなければ。



「じゃあな」

「はい、さよなら」




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